コロナ禍でも粛々とした祭りを。武蔵一宮 氷川神社「大湯祭 前斎」

毎年12月10日にさいたま市大宮区の氷川神社で行われる「十日市(とおかまち)」は、例年多くの方が訪れる酉の市です。2kmにもおよぶ日本一の参道には、熊手などの縁起物を売る露天がずらっと並び、賑わいを見せます。

コロナウイルスの影響で今年の十日市は中止となってしまいましたが、12月10日に行われる氷川神社の神事「大湯祭(だいとうさい)」は、このコロナ禍でも粛々と実施されました。

無病息災・悪疫退散の意味合いもある神様(スサノオノミコト)を祀っていることもあり、この情勢を少しでも良い方向にしていくために、氷川神社の神職のみなさんがしっかりとお祈りを捧げていらっしゃしました。

今回は、11月30日から12月9日までの10日間行われる「大湯祭 前斎」の様子をレポートします。

11月30日から毎晩焚かれる幻想的なかがり火

「大湯祭」は11月30日から12月9日までの10日間行われる「前斎」、12月10日の「本祭」、12月11日の「後斎」の合計12日間にわたる長いお祭りです。元々の起源は明確ではありませんが、江戸時代にはすでに大湯祭と呼ばれた祭礼が行われていたそうで、その歴史はとても深いものです。

取材に訪れたのは12月8日、前斎の9日目となります。
日本一と言われる2kmの参道の一部には、綺麗な提灯の明かりが灯されており、氷川神社への道筋をやさしく照らしていました。

この提灯、実は今年に限って飾られているもので、コロナ禍において十日市の露天が並ばないこともあり、少しでも参道を照らしたいということで、地元の有志により1,300灯もの提灯を飾ったのだとか。

大湯祭の前斎は、毎晩19時30分より三の鳥居を抜けたところで、かがり火を炊き上げるところから始まります。

時間になると神職があらわれ、御祓をしたのちにかがり火台に火を灯します。

着火した日は瞬時に燃え上がり、あたりに集まった人たちをやさしく照らします。

静まりかえった境内の中で、パチパチと音を立てて燃えあがるかがり火を見ながら、今年一年を振り返ったり、来年への想いを馳せたりしながら、集まった参拝者は時間を過ごします。

神職の列に誘われて。厳かに執り行われる本殿の神事

かがり火を灯した後、20時からは本殿において30分程度の神事が行われます。(希望者は参列も可能)

20時を過ぎると、社務所から出てきた神職の方々が手提灯を持って、静かに列をなして本殿に向かい始めます。参列者はこの列に続いていきます。

神職が手に持つ手提灯は昔から変わらない風習。とても幻想的な明かりを放っています。

氷川神社の象徴的な楼門をくぐったら、まずは祓殿にて一拝。その後、本殿に向かいます。

参列者とともに本殿に集まったら、神事が開始。雅楽が流れ、いっそう厳かな空気が流れていきます。


様々な供物をお供えしたり、玉串を奉天したりと、粛々と神事は行われていきます。

静まりかえった本殿の中で、ゆっくりと祝詞が奏上され、様々な想いや願いが祈祷されます。

最後に一礼をして終了。30分の厳かな神事が静かに執り行われました。

本殿を後にし、再びかがり火のところまで戻ると、燃え続けるかがり火を見つけることができました。

ごく少数の人ですが、火を囲っている様子が伺えます。

実は本殿神事の後も、神職の方の神事はまだ続きます。氷川神社には様々な神様のおやしろがあることで、各神様を順々にお参りしていくようです。

粛々と神様をお参りし、祈祷を捧げます。

全ての神様へのお参りが終了した頃には、すでに21時近く。大湯祭の前斎である10日間は、神職は神社にこもり毎日この神事を執り行っているそうです。

最後に、氷川神社の権禰宜(ごんねぎ)の一人、遠藤様にお話を伺いました。

「今年は未曾有のウイルスとの戦いで、いつもと違う大湯祭となりました。日本は古来よりこうした疫病と戦ってきた歴史もあり、何千年もそれは続いています。今のコロナウイルスも特効薬やワクチンがすぐに見つからないこともあり、やはり神様への祈りを捧げるのは、これまでに日本人が行ってきたことに習っていると思います。

また、参拝をいただく皆さんには、ぜひ分散参拝をお願いしております。
早朝の散歩をしながら訪れていただいても良いですし、初詣は必ずしも1月1日に年初に行う必要もありません。各家庭には神棚もあると思います。そうした神棚にお札を祀って、日本人本来の正月をお迎えするのも良いと思います。

参拝の際は、マスクや消毒などの感染対策をしっかり行いながら、分散して訪れていただければと思います」

とお話をされていました。

コロナウイルスの広がりを見せてからもうすぐ1年という時が流れる中で、お祭りや催しごとのあり方も少しずつ変化を見せていると思います。今は参拝の時間をずらすなどの工夫をしながらお参りをし、1日も早いコロナウイルスの収束を願うばかりです。

そして来年はまた、賑やかな十日市が帰ってくることを期待しましょう!