さいたまつり映え フォトコンテスト2018
ところざわまつりインタビュー

時代に合わせて伝統をアップデート!進化し続ける「重松流祭囃子」

日東囃子連 練習生統括

中島健太郎さん

毎年10月に行われる「ところざわまつり」。所沢市街の広い範囲で、山車の運行や神輿の渡御のほか、様々なイベントなどが行われますが、ところざわまつり“ならでは”の特徴は、所沢発祥の「重松流(じゅうまりゅう)祭囃子」。軽快なリズムと踊りで、ところざわまつりを盛り上げる存在です。

今回は、重松流祭囃子を始めて40年の経歴を持つ日東囃子連(日吉町・東町)の中島さんにお話を伺いました。

聞き手・文:浅見 裕

「口伝」で伝わる重松流祭囃子。そこから生まれた多様な演奏が魅力

浅見 本日はよろしくお願いします。中島さんはいつ頃から重松流祭囃子で太鼓を演奏するようになったのでしょうか?

 


中島さん 太鼓は小学生からですね。ただ、5歳の頃から踊りで重松流祭囃子には携わっていました。今年45歳なので、40年は重松流祭囃子をやってます。

浅見 5歳!そんな小さい頃から続けているんですね。始められたきっかけは?

中島さん 私の父がお囃子をやっていて、軽い気持ちで「やってみる?」と誘われて始めました。近所のお兄ちゃんがやっていたので、自分もやってみたいという思いも持っていました。

 

山車の上で踊りを踊る「重松流祭囃子」

浅見 小さい頃は祭りに参加してどう感じていましたか?

中島さん 祭りに関わっていない子たちは友達同士で祭りに遊びに行っていて、それを見て羨ましいなって思ってました(笑)。でもそれ以上に祭りのお囃子をやるのは楽しかったですね。

浅見 それほどの楽しさを感じた、重松流祭囃子とはどのようなものなのでしょうか?

中島さん 軽快なリズムが特徴で、基本の節があります。面白いのが、譜面などは一切なく「口伝(くでん)※1」で代々伝わっているものなので、各町内によって演奏方法に違いがあるんです。

浅見 口伝なんですね!どんな伝え方をするんでしょうか?

中島さん 例えば太鼓の叩き方なら「テケテン、ツクステスク、テンツクツ…」だったり、笛だったら「オヒャラヒャラヒーヒャートコト」といった具合ですね。

 

浅見 すごい!人によってもばらつきが出そうですね(笑)

中島さん そうなんです、うちの町内でも統一されていないくらい(笑)。そこも重松流祭囃子の面白いところで、特徴ある奏で方をする人もいるので、「この人はこの箇所でこういう笛の吹き方をするから、太鼓もこう合わせよう」とか、そこまで考えて演奏することがあります。

浅見 なるほど、演奏する人の組み合わせでも変わりそうですね。口伝は今でも用いているのでしょうか?

中島さん もちろん。今でもこの方法で、子どもたちに教えていますよ。さらに、日東囃子連では基本を守りつつアレンジを加えたりしていますね。

浅見 例えばどんなアレンジでしょうか?

中島さん 昔話の「浦島太郎」の曲に日東のオリジナルの歌詞を乗せて歌い、盛り上げています。聞いてくれる人を楽しませるために、大切な伝統を守りつつ、新しい要素も取り入れているんです。

浅見 そうなんですね!バラエティに富んだ演奏が見られそうです。

 

きっちり演奏するパフォーマンスで観客を魅了

浅見 中島さんの重松流祭囃子のこだわりを教えていただけますか?

 


中島さん そうですね、とにかく観客の人に楽しんでもらうことを意識しています。やっている自分が楽しいのは当たり前ですが、観客あっての祭りですから。

浅見 なるほど、具体的にはどんなことに気遣っていますか?

中島さん きっちり綺麗に叩く、というには特に意識していますね。重松流祭囃子は軽快なリズムがとても重要なので、それを崩さないためにもしっかりと演奏するのは外せないです、当たり前のような話ですが。祭りの最中も酔っ払わないようにしています。

浅見 そうなんですね!祭りというとお酒とセット、という印象がありました…

中島さん もちろんそういう方もいると思いますが、私たちは「パフォーマンス」をしていると思っていて、観客の方にしっかりと楽しんでいただくことを心がける必要があります。お酒もほどほどに…(笑)。その甲斐あってか、「今年も日東を見にきたよ!」って声をかけてくれる方もいるので、きっちりと演奏することでファンになってくれている人もいるんだなあと感じます。

浅見 なるほど。自分たちが楽しむだけでなく、観客を魅了することを忘れないんですね。

中島さん そうですね。また、そうしてかっこいいパフォーマンスをすると、「自分もやりたい!」って人も増えてくるので、そうすれば伝統も長く続くわけですよね。

浅見 伝統は時代に合わせるとより長く続きますからね。そんな長く続く重松流祭囃子に中島さんが惹かれる理由はなんでしょうか?

中島さん 祭りほど「老若男女が一緒のことを楽しめる」機会がないからですね。家族ぐるみでお囃子の練習や準備などに携わるので、子どももみんなで育てられる、みたいなコミュニティになっているのが良いと思うんです。

浅見 そうですね、祭り以外にはなかなか無さそうな機会ですよね。

 

伝統を守りながら新しい祭りの楽しみ方へ

浅見 一般の人が重松流祭囃子を見る時に、注目すべきポイントはありますか?

中島さん 重松流祭囃子には様々な曲や踊りがあるんですが、町内によって伝わり方が全く違うので、その違いを見るのも楽しみ方の一つですね。

浅見 確かに口伝だと解釈も変わって、演奏方法も異なっていきそうです。

中島さん あとは各町の山車が出会うときに行う曳っかわせ。それぞれがお囃子を競って激しく叩き合うので見どころだと思いますよ!ちなみに、日東では星の宮と曳っかわせをするときは、独特のパフォーマンスをやっているんですよ。ゆくゆくは新しい「所沢締め」になったらいいな、と思いながらやっています(笑)。

浅見 どんな締めなんでしょうか?

中島さん そこにいる人たちが「めでてぇなあ!」となるような締めなんですよ。5年くらい前から初めて、今ではだいぶ浸透してわざわざそれを見に来る方もいますね。ぜひ当日、楽しみに見に来ていただければと思います!

 

浅見 面白そう!どの辺りで見ることができるんですか?

中島さん 16時20分頃ですかね、山車の運行状況によって変わりますが、銀座通り商店街で星の宮の山車と曳っかわせをするときにやっています。その後に行う、宮本町との曳っかわせでは大太鼓の競演もかなりの迫力なので、ぜひ見逃さないで欲しいですね!

浅見 それは見逃せませんね…!

中島さん それともう一つぜひ見てほしいタイミングが…

浅見 お、なんでしょう?

中島さん 日東、御幸町、旭町の3町で実施していることなんですが、19時半くらいから「盆ダンス」を踊るんです(笑)

浅見 盆ダンス?

中島さん 石井竜也さんの「花まつり」という曲に合わせてみんなで踊るんです!山車やお囃子は観て楽しめますが、この盆ダンスはみんなで一緒に踊ることができるので、祭りに“参加”できちゃうわけですね。

浅見 それは面白い!祭りに参加できる機会はなかなか貴重です。どこで参加できるんでしょうか?

中島さん 19時半頃、旧ダイエー(現在のイオン所沢店)でやりますのでぜひ足を運んでみてください。そのあとは日東だけのフィナーレで、神輿と山車にコラボレーションなども見れますので!

浅見 日東囃子連さんならではの楽しいチャレンジがいっぱいですね。

中島さん 日東は新しいことにチャレンジさせてくれる柔軟性があるので、毎年祭りに参加したい、という人や子どもが出てきます。守るべき伝統はしっかり守り、変化させるところは柔軟に変化させる。そうやって時代にあったところざわまつりになっていくことが、祭りを続けていくことに繋がるのだと思っています。

浅見  最後に今年の意気込みをうかがえますでしょうか?

中島さん 「品良く楽しむ!」ですね(笑)。見ている方にとにかく楽しんでもらうために、全力を尽くすこと。あとは安全に終えることです。
この祭りをずっと続けていくためには、事故なく無事に行うことがとても大切だと思うので。

浅見  確かに安全は何よりも大切なことの一つですからね。

中島さん 祭りを盛り上げるための「勢い」はもちろん大切なんですが、ちゃんと折り合いをつけて、祭りを守っていくのが必要だと思うんです。

浅見  祭りを続けたい、という強い思いを感じます。本日はありがとうございました!

 

観客を魅了し、祭りのファンになってもらうための仕掛け作り、一方で伝統を守り、昔ならではの良さを残す努力をする中島さん。その背景には、楽しい祭りをいつまでも続けられるように、という強い想いを感じることができました。
当日は中島さん自身が全力で楽しみながら、多くの観客を楽しませている姿を見ることができるでしょう。ぜひ、現地でその姿をご覧になってください!

《注釈》
1、口伝:口頭で技術や学問を伝えること

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