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鉄砲まつりレポート

放たれる鉄砲の銃火!その中を駆け抜ける姿は圧巻「小鹿野鉄砲まつり」

秩父地方の祭りの最後の締めくくりと言われる、飯田八幡神社の「鉄砲まつり」。毎年12月の第2日曜日とその前日に開催されます。

西秩父の寒空のもと「小鹿野歌舞伎」の奉納や笠鉾・屋台の曳き回し、さらに「鉄砲まつり」の名前の由来となっている“火縄銃と猟銃の銃火奉納”という珍しい祭礼行事が行われています。今回は“小鹿野の奇祭”という異名もついているこの「鉄砲まつり」に2日間密着しました。

 

【1日目】小鹿野の子どもたちが中心となった美しい笠鉾・屋台の曳き回しに注目! その美しい衣装や「小鹿野歌舞伎」を演じる勇姿に多くの声援が!

1日目は、笠鉾・屋台の曳き回しや、小鹿野の名物である歌舞伎の上演が行われます。笠鉾、屋台上で屋台囃子を演奏するのは地元の子どもたち。子どもながら、迫力ある演奏で活躍する姿は必見です。

 

「鉄砲まつり」は、埼玉県秩父郡小鹿野町にある「飯田八幡神社」で開催されます。

 

14時、快晴の空のもと「鉄砲まつり」1日目がスタート。まずは八幡神社の社殿のまわりを、若い衆をはじめとした祭礼関係者が3周し、祭りの成功を祈願します。

 

笠鉾・屋台の上で掛け声をかける子どもたちの姿も。華やかな衣装がひときわ目をひきます。

 

祭りの安全、そして町民の健康や繁栄を祈願し、「秩父3本締め」も行われました。「秩父3本締め」とは「パンパンパン、パパパン、パン!」の独特なリズムで行う秩父地域特有の手締めです。

 

いよいよ笠鉾・屋台の曳き回しがスタート! 先ほどの子どもたちが、扇子を手にしながら「わっしょい!わっしょい!」と威勢のよい掛け声をあげ、笠鉾の上から先導します。

 

笠鉾につづいて、屋台の曳き回しも。こちらは男の子たちが中心となって掛け声をかけます。

 

屋台囃子は、地元の子どもたちが中心となって演奏されます。真剣な表情に思わず見入ってしまいました。

 

笠鉾・屋台が一通り町内を曳き回されると、再び飯田八幡神社の参道付近に戻ってきます。そして屋台上で「三番叟(さんばそう)」が上演されます。これは歌舞伎の前に『幕開きの祝儀』として行われるもので、祭りの安全を願って行われるそうです。

 

「三番叟」は、屋台が奉納される上飯田の旧家である猪野氏が代々演じるのが慣例だそうです。

 

「三番叟」が終わると、いよいよ名物「小鹿野歌舞伎」の奉納が始まります。

 

1日目は、上飯田子供歌舞伎による「寿 曽我対面 工藤館之場」という演目です。2人の若い兄弟が父の仇を討つために、源頼朝のお気に入りだった「工藤祐経」の館に入り工藤と接見するというお話です。歌舞伎が奉納されると、1日目の祭礼行事はすべて終了となります。

 

この「小鹿野歌舞伎」の奉納は、「鉄砲まつり」のもう1つの見どころで、2日間を通して4演目もの歌舞伎が地元の方によって上演されます。もちろん内容を知らなくても分かりやすいですが、会場で配布されるあらすじを読んだ上で歌舞伎を見れば、さらに面白さが増すに違いありません。

【2日目】参道を駆け抜ける御神馬の両側から火縄銃と猟銃の銃声が鳴り響く! 度肝をぬかれる「お立ち神事」は一見の価値あり!

いよいよ“小鹿野の奇祭”と呼ばれる「お立ちの神事(おたちのしんじ)」が行われる2日目がスタート。この日は10時~19時過ぎまで「飯田八幡神社」とその付近で多くの祭礼行事が行われます。

 

「鉄砲まつり」2日目は、朝10時から。お祭りが滞りなく行われるようお祓いが行われます。

 

「お立ち神事」で参道を駆け上がる「御神馬(ごじんば)」の姿もありました。

 

神社社殿付近の神楽殿では、終日「神楽(かぐら)」の上演があります。神楽とは神をまつるために奏する歌舞のことで、厳かな雰囲気の中、たくさんの演目が上演されます。

 

神社の石段のふもとに設置された屋台の上では、この日も猪野氏による「三番叟」が始まりました。これが終わるといよいよ「小鹿野歌舞伎」がスタートです!

 

2日目最初の歌舞伎の演目は、上飯田子供歌舞伎による「白浪五人男(しらなみごにんおとこ)」です。盗人を演じる5人の子ども達が舞台に登場すると、大きな拍手と歓声に包まれました。5人とも緊張する様子もなく堂々としています。

 

主役の5人がそれぞれひとりずつ“見得を切る”場面。セリフが決まると、観客から「よぉー!」という掛け声も。

 

続いて演じられたのが、上飯田若連歌舞伎による「奥州安達ヶ原三段目・袖萩祭文(そでがひさいもん)之場」という演目。先ほどの子供歌舞伎の可愛さから一変し、本格的な「小鹿野歌舞伎」を間近で堪能できます。

 

時代は平安末期(前九年の役)、源氏と敵対する奥州安倍一族のお話です。親の反対を押し切って敵側の安倍氏に嫁いだ娘と父親の悲運が描かれています。

 

 

続いて14時半頃より、「お立ち神事」の前座でもある「火縄銃演武」が神社の参道の脇にある田んぼで上演されます。隊長を先頭に20名ほどの火縄銃の射手が参道を行進し、演武を行う場所に向かいます。

 

隊長の「撃てー!」という号令で、大きな銃声が秩父の冬空に響き渡ります。初めて銃声を聞いて、その迫力と音にびっくりされる方も多いはず。

 

火縄銃を一斉に撃ったり隊列を変えて撃ったりと、いろいろなバリエーションが楽しめる演武。撃っているところも面白いですが、銃口に火薬を押し込んで火薬を着火させる瞬間など、見どころ満載です。

 

演武が終わると、神社の鳥居から社殿までの参道を、戦国絵巻さながらの衣装を身にまとった組が練り歩く「大名行列」が行われます。

 

先頭は高張提灯(たかはりちょうちん)※1組。この後に鳥毛(とりげ)※2組、御徒士(おかち)※3組、最後に御神馬が続きます。

 

「大名行列」が終わると、すぐにメインの「お立ち神事」へ。神社の石段下の参道に、火縄銃保存会と猟銃の射手が20人ずつならびその時を待ちます。一瞬訪れる静寂に、緊張感が伝わってきます。この「お立ち神事」の歴史は200年以上もあり、狩猟が盛んだった小鹿野にちなみ、猟の安全や豊作祈願の意味がこめられているそうです。

 

神社の境内から氏子総代※4が提灯を3回まわすと、準備完了の合図。最初に高張提灯組が勢いよく参道を走りぬけ、神社の石段を駆け上がります。その際に、参道の両側からバンバンバン!と火縄銃と猟銃を打ちます。あっという間に境内が白い煙に包まれます。

 

高張提灯組につづき、鳥毛組と御徒士組も参道を駆け抜けます。近くで見学すると、風向きによっては火縄銃の火薬のカケラが頭上に降り注ぐことも。まさに大迫力です。

 

そして、クライマックス! 御神馬の登場に会場がざわめきます。1頭ずつ勢いよく参道を走り抜ける瞬間に、最後の銃火奉納が行われます。

 

さすが御神馬です。鳴り響く銃声におののくこともなく、あっという間に石段めがけて走り去りました。まさに“小鹿野の奇祭”を目の当たりにした瞬間でした!

 

迫力ある「お立ちの神事」の緊張感から解放された後、再び和やかな雰囲気を取り戻した「鉄砲まつり」。いよいよフィナーレへ向け、再び笠鉾・屋台の曳き回しが行われます。

1日目と異なり夜遅くまで町内を曳き回すので、子どもたちが持っていた“扇子”が“提灯”に変わっています。

 

神霊が宿った神体などを神輿に移して、地域を練り歩く「神輿渡御(みこしとぎょ)」も行われます。神輿を担ぐのは、この地を古くから守ってきた“播磨(はりま)”の姓を受け継ぐ一族です。

 

途中、河原付近に立ち寄り「川瀬神事(かわせしんじ)」を行います。これはさまざまな災いから地域を守るためのお清めの儀式です。

 

すっかり日が暮れると、笠鉾・屋台の提灯に明かりが灯り、昼間と違った美しさを放ちます。なんともいえないその雰囲気に思わず見とれてしまいます。

 

そして「鉄砲まつり」はフィナーレへ。最後に演じられる「小鹿野歌舞伎」は、上飯田若連歌舞伎による「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 吉田社頭車引之場」です。菅丞相(菅原道真)に仕える家に生まれた3つ子の数奇な運命を描いた30分にもおよぶ大作です。昼間の歌舞伎を見逃した方は、「小鹿野歌舞伎」が見られるラストチャンスです!

 

最後の「小鹿野歌舞伎」が奉納されると、「鉄砲まつり」の締めくくりとして、夜空に大輪の花火が打ち上がります。冬の夜空に上がる花火も趣がありますね。これで2日目の祭礼行事もすべて終了です。

 

“小鹿野の奇祭”と言われているだけあり、火縄銃や猟銃の奉納、戦国時代の大名行列、さらに平安時代の歌舞伎など、そのラインナップの豊富さには驚きました。ここまで様々な行事を見られる祭りは珍しく訪れる価値は十分!ぜひ「鉄砲まつり」を堪能してみてはいかがでしょうか。

(取材日:2017年12月9日~10日)

《注釈》
1、高張提灯(たかはりちょうちん):長い竹竿の先端に括りつけた提灯
2、鳥毛(とりげ):長い竿に鳥の羽毛をくくりつけたもの
3、御徒士(おかち):江戸時代、幕府、諸藩に配置された徒士の集団
4、氏子総代:氏子の間から選ばれた代表世話人

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