幸手夏祭りレポート

王座は誰の手に?「幸手夏祭り」のハイライト、花山コンテストを追う

[14:00〜] 幸手夏祭りがスタート、昼間は和やかに進む山車巡行
[17:30〜] 幸手夏祭り一番の見どころ「花山」を狂わせる大粒の雨
[18:30〜] いよいよ本番!年に一度の大勝負「花山コンテスト」
[19:00〜] 緊迫の結果発表!仲町5連覇なるか?それとも……
[20:00〜] 若頭それぞれの想いを胸に来年へ
[21:00〜] 大団円の三本締め!お開き、かと思いきや……
「花山」だけじゃない、幸手夏祭りは2週間にわたって見どころ満載

かつて日光街道(奥州街道)と日光御成街道の合流点として栄えた宿場町をルーツとする幸手。300年を超える歴史をもつこの街では、毎年7月になると2週にわたって夏祭りを行い、華麗な宮神輿や勇壮な山車の曳き廻しで夏を彩ります。

幸手夏祭りのメインイベントといえば、最終日の夕方に7つの町内の山車が駅前の坂を一気に駆け上がり、その力強さを競う「花山コンテスト」。今回インタビューに協力いただいた仲町を含め、7つの町内が一年間積み上げてきた熱い思いと鍛錬の集大成である、コンテストの模様をさいたまつりが追いました。

 

>> 「花山」常勝の仲町の若頭が語る!優勝へのこだわりと想い

 

[14:00〜] 幸手夏祭りがスタート、昼間は和やかに進む山車巡行

2019年7月14日、当日はあいにくの雨。今年は記録的な日照不足が続き、この日も本降りではないものの、降ったり止んだりとぐずついた空模様でした。

しかし、幸手夏祭りは雨天決行。朝から入念に飾り付けをした自慢の山車ですが、提灯や締太鼓が濡れてしまうといけないので、山車にビニールを被せ、曳き廻しに出る準備を進めます。

 

実行委員会本部前では、過去4年連続で花山コンテストの優勝を勝ち取っている常勝の仲町が山車を道路に出すところでした。負けられない戦いが4時間後に控えています。若頭の宮杉さんもピリッと緊張の面持ちで仲間とコンタクトをとります。

 

花山への意気込みも必要ですが、何より安全が第一。トラックほどの大きさの山車を動かすので、気を抜くと曳き手だけでなく沿道の観客まで巻き込む大事故につながる可能性も十分あります。年に一度の花山を全力で楽しむためにも、気を抜かず意識を合わせて臨むことが求められます。

 

昼間は肩慣らしも兼ねて、市内を巡行します。事前に入念なシミュレーションを重ねているとはいえ、実際に曳けるのは夏祭りのときだけ。前後の息の合わせ方や方向転換の仕方、スピードの調節などをチェックしながら曳き廻します。

 

巡行中には他の町内の山車と鉢合わせすることも。ライバルではありますが、ともに祭りを愛する良き仲間でもあります。挨拶を交わし、エールを贈り合います。

 

 

 

仲町の宮杉さんが「子どもの頃から祭りに関わっていた」と語っていたように、山車の周りにはたくさんの子どもたちがいます。もう少し大きくならないと山車の運行には携われませんが、勇壮な山車を大人たちが曳き回す光景は、夏の記憶として子どもたちの脳裏に焼き付けられるのでしょう。300年続く歴史の片鱗を垣間見るようでした。

 

巡行中は気を引き締めているとはいえ、昼間の山車は至って和やか。天候も太陽こそ見られませんでしたが、道路も乾いて、このままいけば晴れの花山が見られます。雨が降って路面が濡れると滑りやすくなり危険なので、山車は思うようにスピードを出せなくなってしまうのです。

 

[17:30〜] 幸手夏祭り一番の見どころ「花山」を狂わせる大粒の雨

休憩を挟み、いよいよ花山という段になって……雨が降ってきました。傘が手放せないほどの大粒の雨です。間もなく雨の勢いは弱まりましたが、アスファルトは再びしっとりと雨に染まってしまいました。

 

 


[18:30〜] いよいよ本番!年に一度の大勝負「花山コンテスト」

本番は刻一刻と迫ります。時代行列と手古舞、高張提灯が駅前のロータリーに入場すると花山の始まりです。今回は雨によって路面が滑る恐れがあり、例年のように全速力で駆け抜けることはできません。そんな中、各町はどんな花山を見せてくれるのでしょうか?今年の各町の名シーンをピックアップしてご紹介します。

天神町

まず入ってきたのはトップバッターの天神町。

 

梅鉢の紋をあしらった山車で堂々の入場です。足元の悪さからスピードを思うように出せない歯がゆさが、観ているこちらまで伝わるようでした。

助町

ドリフトが見どころの助町ですが、この雨でスピードは出せず……その代わり、晴れていたら危険で出られなかったであろう子どもたちの力を借りて駆け上がりました。未来を担う若手、頼もしい限りです。

 

 

老若男女揃っての花山は微笑ましく、沿道から拍手が起こっていました。

久喜町

久喜町も子どもたちが先導するかたちで入場。

幸手七町内で最も大きな久喜町の山車を、全員で迎え入れる姿には見ごたえがあります。

 

どの町内よりもひときわ大きな久喜町の山車、最後はたくましい男性陣が力を合わせて曳きます。この巨体が勢いをつけて駆け上がる姿、来年こそは観てみたい!

仲町

 

七町内で唯一人形を擁する仲町の山車が現れました。神功皇后の人形を背に仁王立ちの会長、威厳があります。

 

例年に比べ減速はしたものの、あくまで駆け上がる姿勢を崩さなかった仲町。威勢の良い掛け声とともに大きな前輪を持ち上げるパフォーマンスは圧巻で、王者の風格を見せつけました。

東町

ベテラン揃いの東町、登場から風格が漂います。山車の色味もシックで大人の色気(?)を感じます。

 

少数の曳き手ながらも、さすが七町内随一の技術者集団。安定感のある息の合った運行には見事と唸るばかりです。

 

さらに勢いがつくとどんな姿が見られるのでしょうか。来年の駆け上がりが早くも待ち遠しくなりました。

荒宿

続いて「優勝を狙いに来ている」と宮杉さんもマークしていた荒宿。どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょう?

 

 

ロータリーに駆け込むやいなや、「せーの!」の掛け声で曳き手が一斉に体重をかけ、豪快に山車を傾けました!引きずられる曳き手たちに沿道から悲鳴にも似た歓声がわきます。

 

安全を最優先するがゆえ、控えめに運行する町内が多い中、限界ギリギリまで攻めた駆け上がりに鳥肌が立ちました。

北町

最後はひときわ明るいちょうちんを灯す当番町の北町が華々しく登場。

 

掛け声で気合を入れ、力強い足取りでゆっくりと進みます。

 

これで全七町内が駅前に揃いました。例年とは違った趣きながら、個性の光る花山コンテストになりました。

 

[19:00〜] 緊迫の結果発表!仲町5連覇なるか?それとも……

全町内揃っての曳っかわせは盛り上がりがすごい!四方八方から鳴り物が聞こえてきます。駆け上がりを終えて、みんな達成感に満ちた様子です。

 

そしていよいよ結果発表。花山コンテストの今年の勝者が当番町の北町内長から発表されます。緊張した面持ちで結果を待つ各町内。

 

「優勝は……」

 

 

「荒宿!」

 

ざわめく会場、沸き立つ荒宿。4年ぶりに王者交代となりました!大番狂わせではありましたが、荒宿の迫力満点なパフォーマンスは見る者を納得させる、優勝にふさわしいものでした。

 

 

 

各町さまざまな思いを抱える中、再び盛大に曳っかわせを行って今年も花山は幕を下ろしました。

 

花山が終わると辺りはもう真っ暗。ちょうちんの明かりが夜空によく映えます。昼間には感じられなかった、幸手夏祭りのもう一つの魅力です。

 

 

[20:00〜] 若頭それぞれの想いを胸に来年へ

山車も観衆も徐々に駅前を後にし、クライマックスの手打ち式が行われる中央通りのローソン前へと移動します。

荒宿の若衆頭・渡邊さんにお話を伺いました。

「駅前でパフォーマンスするために、若手を中心に町内一丸となって準備を進めてきました。また、雨で路面が滑りやすくなっていたので、とにかく事故が起きないように安全な運行を心がけながらも、最大限のパフォーマンスをお見せできたかと思います。今回が2回目の優勝ですが、結果につながって良かったです。」

一方、今回インタビューでお世話になった仲町の若頭・宮杉さんにも会いに行きました。

「まず第一に、悔しいは悔しい。ですが、特に怪我もなく運行できたのは良かったなと。あとは、一年間ともに準備を重ねてきた仲町のメンバー全員で花山当日を迎えられたのは良かったですね。来年は『挑戦される側』から『挑戦する側』になります。来年は必ず王者の座を獲ります!」

力強い言葉に胸が熱くなりました。

 

[21:00〜] 大団円の三本締め!お開き、かと思いきや……

年に一度のビッグイベントを終え、会場は今日一番の賑わい。大きな事故もなくこの時を迎えられたことにどの町内もホッとされているようでした。当番町のちょうちんを来年の年番町である荒宿に引き渡し、最後はこの場に居合わせた全員で三本締めを行いました。

しかし祭りの終わりは名残惜しいもの。午後10時には解散の予定でしたが、警察と協議の末、「今日だけは」とほんの少し延長することになりました。

賑やかに曳っかわせを始める町内や、マイクを握って歌い始める町内。

暗く狭い路地を悠々自適に山車巡行する町内。

不完全燃焼な気持ちを解消すべく、コンテストさながらの走りを見せる町内も。

今日が終われば、明日からはまた日常。2週間にわたる祭りの最終日ということもあり、幸手の街は夜遅くまで盛り上がりました。

 

「花山」だけじゃない、幸手夏祭りは2週間にわたって見どころ満載

仲間の連帯感、ライバルへの友情と競争心。幸手夏祭りは、想像以上に熱い熱い一日でした。

ハイライトの花山コンテストもさることながら、少し早い時間から各町の山車を見比べてみたり、「推し」の町内を決めて見てみるとまた違った楽しみ方ができるかもしれません。また、初日には各町の代表者が集まって担ぐ巨大な宮神輿の渡御、週半ばには元気な子供神輿の渡御もあります。

皆さんも来年はぜひ「幸手夏祭り」を現地で体感してみてくださいね。来年は晴れますように!

(取材日:2019年7月14日)

トップに戻る