さいたまつり映え フォトコンテスト2018
龍勢祭レポート

「龍勢は生き物だ」龍勢師が40年もチャレンジし続けるその想いとは

さいたまつりでは2018年の「龍勢祭」について、20を超える流派の一つ「美峯雲流(びほううんりゅう)」に密着取材を行なっています。龍勢作りのスタートから追いかけてきましたが、準備も中盤に差し掛かったところで、「美峯雲流」の棟梁を務める濱田さんにお話を伺いました。

濱田さんは龍勢歴40年、龍勢師たちが、青空に舞い上がる龍勢にどのような思いを込めているか。これまでのエピソードや龍勢にかける想いなどを伺いました。


美峯雲流 棟梁
濱田峰雄 さん

龍勢好きが集まる!一緒に龍勢作りができる流派「美峯雲流」

浅見 いつも貴重な龍勢の制作現場に立ち合わせていただきありがとうございます。今日は、濱田さんの龍勢への想いやエピソードなどを伺わせてください。

 


濱田さん はい、よろしくお願いします。

浅見 濱田さんはいつ頃から龍勢に関わるようになったのでしょうか?

濱田さん 30歳くらいの頃からですね。花火屋をやりながら龍勢を手がけていた義理の兄さんから声をかけてもらって、龍勢作りに携わるようになったんです。今とは別の流派で修行して、その後自分で約30年前に「美峯雲流」を立ち上げました。

浅見 美峯雲流の名前の由来はどのようなものでしょう?

濱田さん 秩父は美しい山が多いじゃないですか?なので、美しい山々を表した「美峯」という言葉と、龍勢に流派を表現するときによく使う「雲流」を組み合わせました。

浅見 秩父の美しい山々をバックに華麗に龍勢を打ち上げる流派、という感じですね!美峯雲流はどんなメンバーで構成されているんですか?

濱田さん 美峯雲流は「有志」が集まっていて、吉田地区の人に限らず、龍勢に興味のある人が関われるようにしたんです。15名前後の少数精鋭でやっていて、今は秩父の大野原地区や皆野町のメンバーもいますよ。

 

龍勢は生き物、毎年違う姿に龍勢師たちは魅了される

浅見 龍勢作りの難しさやポイントはどのようなところにあるのでしょうか?

 


濱田さん 毎年同じように作っているはずなのに、同じような結果にならない、というところですかね。

浅見 といいますと?

濱田さん 制作の工程や火薬の分量など、毎年ほぼ同じようにやっているのですが、本番では爆発してしまったり、櫓(やぐら)から飛び立たずその場で火をふくだけだったり…実際に打ち上げてみないと、結果がわからないんですよ。とても難しいところですが、そこにやりがいを感じます。

 

毎年イチから作っている龍勢の筒

昨年までの経験をもとに試行錯誤しながら進める龍勢作り

 

浅見 毎年同じように作っても結果が違うというのは興味深いですね!

濱田さん まあ大抵考えすぎたり、他の流派を気にしすぎたりすると、うまくいかないことが多いですね。要は「自分たちの龍勢をあげるんだ!」という想いが大事なんです。

浅見 ちなみに今までの成功確率ってどのくらいでしょうか?

濱田さん だいたい50%くらいかな(笑)。最近、成功率は上がってきていますけど、その年に全ての流派が成功したことは、今まで一度もないんです。それくらい難しい。

浅見 そうなんですね。それだけの難しさなら、打ち上げる前はとても緊張するんじゃないでしょうか?

濱田さん もちろん。昔は祭りが近づくとご飯も食べられないくらいプレッシャーを感じてましたよ(笑)。

浅見 そんなプレッシャーを感じながらも、龍勢を続けたいと思うのは?

濱田さん やっぱり自分たちが作った龍勢が打ち上がるか失敗するか、その結果がはっきりと出るのが良いんだと思います。

浅見 なるほど。

濱田さん 龍勢師の間では「龍勢は生き物だ」ってよく言われるんですよ。長年やっても、わかったようでわかっていない。龍勢は経験や感覚をもとに作っていくので、計算できないところがいいんです。毎年打ち上がるか失敗するかの結果があるからこそ、やりがいがあるし毎年チャレンジしたくなる。失敗したら大の大人が泣くんですから(笑)。嬉し涙も悔し涙も見られる、龍勢師はそのくらい想いをかけてるんです。

 

「より高く、より美しく」龍勢をあげたい

浅見 毎年龍勢祭には20以上の流派が参加していますが、その中で美峯雲流の独自のこだわりはありますか?

濱田さん 美峯雲流は「より高く、より美しく」というモットーで毎年龍勢を作っています。打ち上げる前の龍勢の姿、高く打ち上がること、落下傘が華麗になびくこと、花火が美しいこと。それらが一貫して、どの段階でも美しい状態を作れるようにしています。

 

落下傘なども空に映えるよう制作

浅見 なるほど、打ち上げる前の龍勢の姿からこだわっているんですね。

濱田さん そうですね。綺麗に荷付け(龍勢に落下傘などを装着する作業)を行なっています。打ち上げる前の姿も楽しんでもらいたいですし。それと、年に一回の龍勢なので細かい寸法や仕上げなど、特に気をつけていますよ。

浅見 やはり丁寧に作り込むことがとても大切なんですね。

濱田さん そう。飾り付けもそうですが、龍勢は火薬を使うので、火が引火しないように注意してるんです。導火線の火の勢いが強すぎて、中途半端なタイミングで本体に引火してしまうと爆発したりするので…火薬周りはかなり気をつけますね。

浅見 打ち上がる前の龍勢も評判とのことですが、一般の方でも見られますか?

濱田さん 見られますよ。打ち上げ場所まで龍勢を運ぶのを「担ぎ出し」というのですが、龍勢祭の会場の道路を通るので、その時は一般の方でも打ち上げ前の龍勢は見られます。

 

打ち上げ前の龍勢が見られる「担ぎ出し」

 

浅見 それは隠れた見どころかもしれませんね!ちなみに美峯雲流が他の流派には負けない、という点はありますか?

濱田さん 美しさという点でとても評判が良いです。打ち上げる前の姿もそうですが、美峯雲流の龍勢はとにかく高く上がるんですよ。

浅見 そうなんですね!何か秘訣があるんでしょうか?

濱田さん まあ、わからないんですよね、感覚でやってるいるので(笑)。でも、龍勢師は高く打ち上げることにはこだわるので、その点も良い評価をいただくことがありますね。

打ち上げ時間を考えた龍勢の仕様に注目

浅見 最後に、今年の意気込みを伺えますか?

濱田さん 先日の抽選会で今年の打ち上げは10番目に決まりました。午前中に打ち上げるんです。毎年午前中は青空でよく晴れることが多くて、青空だと煙がとても映えるんですよね。

 

昨年の美峯雲流の龍勢

 

浅見 確かに雲がなければ綺麗に煙が見えそうですもんね。

濱田さん なので、打ち上げる時につける花火に少し工夫をしようと思っているんです。

浅見 どんな工夫ですか?

濱田さん 様々な色の煙が出る花火を仕掛けて、空に昇る途中と、昇りきったあと、それぞれでカラフルな煙を出すようにしようと思っています。そこはぜひ注目していただきたいですね。

浅見 雲ひとつない青空で打ち上がれば、とても綺麗な龍勢になるでしょうね。とても楽しみです!本日はありがとうございました!

 

「龍勢は生き物」。40年近く龍勢作りに携わってきた濱田さんが感じる龍勢の本質がその言葉に集約されている気がしました。毎年違う姿を見せてくれる「生き物」だからこそ、龍勢に多くの龍勢師は魅了されるのでしょう。
今年も「より高く、より美しく」を目指した美峯雲流の龍勢が着々と作られています。当日の打ち上げに期待したいと思います!

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