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長瀞火祭りレポート

燃え盛る炎!駆け抜ける修験僧!迫力満点の祭り「長瀞火祭り」

満開の蠟梅(ろうばい)の甘い香りに上着を脱ぎたくなるような陽気の中、秩父路に春を告げる「長瀞火祭り」が開催されました。修験僧※1が燃え盛る炎の上を駆け抜ける姿をみることができる「紫燈大護摩(さいとうおおごま)・火渡荒行」は迫力満点。そんな「長瀞火祭り」の様子をレポートします!

 

 

郷土芸能が目白押しの「長瀞火祭り」!朝から見逃せない!

「長瀞火祭り」の会場までは、秩父鉄道長瀞駅から歩いて20分ほど。この日は、駅前で甘酒が無料で配られるなど、駅から出た途端にお祭りムード一色。火祭り会場だけでなく、駅前でもさまざまな郷土芸能を見ることができます。

 

こちらは、長瀞駅前で法螺貝を吹く修験僧の様子。

 

修験僧は、ここから会場までの約2キロの坂道を、約1時間かけて登っていきます。

 

獅子舞一行の衣装や修験僧の鮮やかな法衣(ほうえ)が、自然豊かな長瀞の町を彩ります。

 

練行(れんぎょう)※2の先導を務めるのは、皆野町にある椋神社の祭神でもある「猿田彦」。一枚歯の高下駄で歩く朱塗りの天狗面姿がとても神秘的です。

 

修験僧が吹き鳴らす法螺貝(ほらがい)の音が響き、1000人を超える華やかな行列に、沿道に詰めかけた人々は一斉にカメラを構えていました。

いよいよ祭りのメイン、”火渡荒行”。緊張も興奮も最高潮!

一行を待ち構える火祭りの会場では、朝早くから四方を区切った注連縄(しめなわ)と幣束(へいそく)※3で結界が張られ、道場(修験道を行うための場)の準備が整えられています。京都からはるばる到着した醍醐寺座主(最高位の僧)を歓迎する口上が述べられ、「長瀞火祭り」のメインとなる「紫燈大護摩・火渡荒行」がはじまりました。

 

火祭り会場に設置された大きな護摩壇。

 

先ほどまでのお祭りの賑わいに、仏教法要の緊張感が加わった独特の空気が新鮮です。

紫燈大護摩とは、護摩壇の前にさまざま供物をそなえ、護摩木を燃やすことで不動明王をお招きし、悩みや願いを聞いてもらうことです。燃えさかる火炎は不動明王の智慧そのもので、人々の煩悩を清め、願いを成就させるといわれています。今年は約4トンの檜と約3トンの薪を使った、大きな護摩壇が作られました。

 

仏教の法要という言葉を聞いて、みなさんはどんな光景を思い浮かべますか? 多くの方が想像した通り、仏教は修行や法要はお寺の中で行うことが大半です。ご本尊が安置され、常に修行の場になっているお寺とは違い、野外では、その場所を修行のための「道場」に変えるため、数々の清めの儀式が必要になります。

 

山の中で護摩の薪を切り、護摩壇の結界をつくる法斧の儀。

 

弓を放って外側の魔を祓う法弓の儀。

 

不動明王の持ち物でもある、剣を用いた法剣の儀で内側の魔を祓い、九字※4を切って結界を強めていきます。

 

 

山の中に入り、自分自身を仏となるために心身を鍛える修験道の厳しさが、剣や槍、弓矢など、用いる法具の力強さにも表れているようでした。

こうして、数々の儀式で道場を清めることで、いよいよ不動明王をお迎えすることができるのです。

 

火を点けるとすぐに、真っ白な煙がもくもくと湧きあがり、周囲の景色を覆い隠しました。やがて、煙の内側から炎が覗くと、あっという間に燃え広がっていきました。人の背丈を優に超える炎の山が、不動明王像の光背を思わせます。

天に向かって奔放に伸び、大きな炎の塊がちぎれて空に舞うさまは、普段私たちが使っている炎とはまったく別物のようで、朗々と響く50名にも及ぶ修験僧の真言※5とあいまって、とても神聖なものに感じました。

 

そしてここから「火渡荒行」へと続きます。

 

山のようになった燃え盛る護摩壇を人が渡れるようにならすと、炎の勢いが収まりました。「ここを修験僧が渡るんだな。」と、安心したのは束の間。

 

なんと、収まりかけた炎に次々と護摩木を加えて、再び大きな炎になりました。こんなに炎が燃え盛る場所を走り抜けるんですね。

 

荒行の厳しさは火渡りだけではありません。自身が仏となったことを示すために、頭から熱湯を被る「湯加持(ゆかじ)」を行います。修験者自身が智慧の火を生じる”火生三昧”と呼ばれる状態に入っているため、熱湯や炎にも耐えられるといわれています。

 

熱湯を頭から浴びる「湯加持」。

湯加持を行った修験僧は、続いて火渡りを行います。
足の裏どころか、頭のてっぺんまで燃えてしまいそうな高い炎の上を、裸足で駆け抜けていきます。

 

緊張感に静まっていた会場からも、堪え切れずに声が上がりました。

護摩の炎には汚れや煩悩を祓うことができるほか、願いを叶えたり不動明王の御加護を得られるとされています。

 

次々と護摩札を持って火に飛び込んでいく修験僧たち。炎の上を走りながら、国の安泰や人々の家内安全、願いの成就を祈ってくださいます。

 

なんと、護摩の神輿を担いだまま火を上を走ります!

 

このお神輿の御幣(ごへい)※6は、後で購入することができました。

 

すべての行事の最後に、一般の参加者による火渡りが行われました。火が消えた護摩壇を渡る前に、修験僧の方々が一人ひとり、背中に手を触れて送り出してくださいます。

最後の一人まで丁寧に祈ってくださる姿や、厳しい荒行を目の当たりにすると、祈っていただいた分良い一年を過ごさねばと、身が引き締まる思いがしました。

 

春のお祭りとしての華やかさや仏教法要としての厳粛さ、修験僧の祈りの力強さを体感することができる「長瀞火祭り」。ぜひ、参加してみてはいかがでしょうか?

 

(取材日:2018年3月4日)

 

※1 修験僧:修験道(しゅげんどう)の修行者。山伏とも言う。金剛づえ・ほら貝などを持ち、山にこもって修行する。

※2 練行:修験を行う山に向って歩く修行。徒歩練行とも言う。

※3 幣束:たたんで切った紙を細長い木に挟んだもの。祓(はらい)のときに用いる。

※4 九字:護身の秘法である九つの文字。「臨兵闘者皆陣列在前」の九つの字。

※5 真言:仏・菩薩などの真実のことば

※6 御幣(ごへい):神祭用具の一つ。紙または布を切り、細長い木にはさんで垂らしたもの。

 

 

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