みこし同士の“ケンカ”!男たちの負けられない戦いと想い
こだま夏まつりインタビュー

みこし同士の“ケンカ”!男たちの負けられない戦いと想い

こだま夏まつり 連合青年会

会長・副会長、各町のみなさん

毎年7月に行われる「こだま夏まつり」。見どころはなんといっても、こだま夏まつりの代名詞でもある「ケンカみこし」。各町の若手たちがみこし同士を組み合わせて、荒々しく押し合い、掛け声をあげる様子は迫力満点です!そんな「ケンカみこし」で頂点に乗り、みこしを率いるのは、この祭りの運営を一手に担う連合青年会の9町の皆さん。みこし同士の激しい組み合いの裏に隠された彼らの想いをご覧ください。

お話を伺った皆さん:連合青年会の会長、副会長、そして上町、鍛冶町、長浜町、下町、本町、連雀町、新町、仲町、高柳、それぞれの町の代表者

うちの町にしかない特徴はコレ!こだま夏まつりの町自慢

ー 本日はよろしくお願いします。「ケンカみこし」というくらいなので、実際にみなさんが集まると、殺気立った雰囲気になるかなと思ったのですが、割と和やかな感じですね(笑)

よく勘違いされますが、そもそもケンカみこしは“人同士”の喧嘩ではなく、“みこし同士”の喧嘩なんです。本気でぶつかり、組み合っていますが、その裏では町同士しっかりと打ち合わせをして、協力しあうようにしています。

ー なるほど!お互いの“人同士”がいがみ合って喧嘩をするわけではないんですね。安心しました(笑)

 

本町の永尾さん

 

殺気立つのではないかと勘違いするのも無理はないですよね。何せ「ケンカみこし」ですから。人が乗ったみこし同士を組み合わせて、激しく押し合うような祭り、全国的にも珍しいですからね。

 

ー確かにものすごい気迫を感じる祭りですからね。
それでは、皆さんにこのこだま夏まつりについて、いろいろと伺っていきたいと思います。まずは、「わが町はこれがすごいんだ!」と自慢できるポイントをお伺いできますか?

下町の永尾さん

うちの町は、“とにかくでかい”みこしを担ぐんです。40年以上前に作られたみこしで、多分1.5トン以上はあるんじゃないかな…

ー1.5トン!町みこしは数百kgくらいが一般的だと思うので、それは大きいですね…

そうなんですよ!このみこしを作った当時は、みこしを担ぐ人数が今の倍以上いたはずなのに、あまりの重さにすぐに担ぐのをやめてしまいました(笑)。

そのあと、数年は担がれなかったらしいんですが、みんなでもう一度あのみこしを担ごう!という想いから復活させて、このみこしを担ぐようになりました。まあ、重さは当時から変わらないので、担ぐ時は大変ですけどね…

ーそんな大きなみこしを担いでいるときの、担ぎ手の皆さんの表情がみたい(笑)

仲町の黒澤さん

うちの町の自慢は、唯一、御仮屋(おかりや)※1を設置していることですね。なぜ、うちの町だけにあるのかはわからないのですが、ずっと昔から仲町の会所には御仮屋を作ることが受け継がれています。他の町にはないものなので、ぜひご覧いただきたいですね。

ー仲町の御仮屋、気になりますね。

あと、木遣り(きやり)※2も唄ってますね!みこしの担ぎ出しと担ぎ終わりに。

自分の父親の世代でも唄っていたそうなんですが、その後しばらく途絶えてしまっていました。ですが、祭りを盛り上げたい!ということから、最近になってこの木遣りを復活させています。

ー 満を持して復活した木遣りなんですね!ではせっかくなので、今ここで披露とか…(笑)

あ、いや、それは…(笑)

ー わかりました(笑)当日を楽しみにしています!

 

負けられない戦いがある…ライバル視している町は?

ーこうやって皆さんのお話を聞いていると、それぞれの町がとても仲よさそうに見えますが、ライバル視している町とかってあるんでしょうか?

 

上町の大澤さん

上町と高柳はライバルというか、15年前にはじめて高柳がこだま夏まつりに参加した時、初めて組み合いをした相手が私たち上町だったので、今でもお互い意識し合っていますね。

高柳の佐藤さん

確かに上町さんにはお世話になってる(笑)

初めて組み合いをした町ということもあり、上町さんと組み合いをするときは気合を入れています!先輩方からも「上町には負けるな」ってハッパをかけられるんです。

ー上町と高柳の組み合いは特別な空気が流れそうですね!

それだったら、うちは連雀町とよく組み合いをしていますね。

連雀町の山田さん

うちと本町は、となりまち同士なので基本的に仲がいいんです。しっかりと信頼関係を築いているので、組み合いになると熱が入って結構長い時間、クタクタになるまで組み合うくらいですよ。

ー どのくらいの時間、組み合っているのんですか?

普通は数分で終わるんですが、10分とか15分とか。それを三回くらいやるんですから、ずいぶん長い時間、組み合っていると思いますよ!

ー なるほど、ケンカみこしには時間を忘れさせるくらい、みなさんを熱中させる何かがあるんですね。

そうですね。組み合いには危険がつきものです。事故や怪我が起きないように全員が常に「安全第一」を考えているので、そういった意味では特に熱が入る場面ですね。

安全に祭りを進めるために、現場では真剣そのもの

 

 

祭りの中の人イチオシの隠れた注目ポイント!

ー祭り関係者である皆さんがオススメする「こだま夏まつり」の注目ポイントを教えていただけますか?

何といっても、組み合いですね。本当に迫力があります。実際にみこしに乗っていると、90度以上傾いているような感覚になるんですよ。でも、そこからの景色は格別です。数十人の男たちが本気の顔でみこしを担いでいる様子が、全て見られますから。

祭関係者目線でもう一つ…みこしが組み合っている様子を下から見上げるのも、なかなかですよ。エネルギーに満ちたケンカみこしを間近で見られるなんて、とても贅沢なことだと思います。

ー確かに、組み合いの真下は危険で一般の人はなかなか見られないですからね。特別な景色ですね!

一般の人には、組み合いの時、頂点ではなく、みこしの一番後ろの担ぎ手にも注目してほしいですね。

ーそれはなぜでしょう?

一番後ろの人は、みこしに背を向ける形で背中でみこしを思いっきり押すんです。その表情たるや、ものすごい気迫ですよ(笑)

みこしを必死に押し上げる鬼の形相の担ぎ手たち!

ーそれはみてみたい!知らなければ、あまり注目しなそうなポイントですね。

うちの町では、夜20時半をすぎると、みこしを引きずるパフォーマンスをするんです。

ー引きずる!珍しいですね!

みこしを引きずることで、みこしの中の神様が荒ぶる、ということからやり始めたみたいで。
だいたい30メートルくらい、みこしの前方だけを持ち上げ、後方を地面につけて引きずる様子は、他の祭りでもみられない光景だと思います。

青年部副会長で鍛治町に所属する川部さん

鍛治町では、みこしを上に担ぎ上げて、そこから地面に落としてます(笑)

ーお、落とす!?壊れないんですか!?

いや、ちょっとずつ壊れますよ(笑)。と言っても、そこまでボロボロにはならなくて。古いみこしを落とすんですが、大破するまでにはならないんです。

鍛治町、仲町、長浜町の3町が、このみこしを落とすパフォーマンスをやってますよ。

みこしを落とす瞬間。周りから歓声が上がる

仲町はさらに、みこしを頭上にそりゃっ!って放り投げるんです!

ーわあ…どんどんエスカレートしていく…放り投げてそのあとはどうなるんでしょうか…?

もちろんそのまま下に落とします(笑)

ー荒いですね…(笑)

あ!もう一ついいですか?みこしの組み合いは、児玉駅の4つ角か、仲町の三叉路で行われることがほとんどなんですが、タイミングよく町中でみこしが出会うと、そのまま組み合いになることがあるんです。

もともと決まっている場所以外で組み合いがみられるのは、とてもレアです!

ーそうなんですね!町でその光景を見かけたら、ラッキー!って思った方がいいですね。

 

神社の宮神輿もぜひ注目していただきたいですね。

ー宮神輿、ですか。

ここに集まっているメンバーが乗るみこしは、各町の町みこしなんですが、当日は八幡神社の宮神輿も渡御します。このみこしは、唯一各町の人が入り混じって担がれるものなんです。

なので、町みこしでは組み合いで「ケンカみこし」を行いますが、宮神輿はみんなで力を合わせて担ぐ。そういった意味でも、少し他の町みこしと見え方が違うかもしれませんね。

町内をまたいで、メンバーが担ぐ宮神輿も注目!

 

祭りへの想いと子どもたちの憧れ

ーみなさんが祭り当日に向けて準備していることってありますか?

ここに集まっているみんなは、みこしの上の乗る人たちなので、担いでくれるみんなのためにも痩せるようにしていますね(笑)

僕も、今年は結構痩せてますよ!

ー今年は、って(笑)

長浜町の福島さん

 

うちの町は、当日に向けてどんどん不健康になりますね、お酒の量が増えて!わっはっは(笑)。ただ、みこしも担ぎ手も息が合わないと、迫力も出ませんし、危険なので。そういった意味でも普段から交流は大事ですよ!

ーなるほど(笑)。上に乗るからには、努力が欠かせないわけですね。ちなみに地域の子どもたちからも、皆さんは注目される存在なのでしょうか?

そうですね!子どもたちから憧れの眼差しでみられますよね。「おじちゃん、今年もみこしの上に乗るの?」って。自分たちも子どもの頃は、みこしの上に乗っている人には憧れてましたから。

 

誰でもすぐにみこしの上に乗れるものじゃないし、担ぎ手などでずっと祭りに関わり続けるという、下積みがあってようやく乗ることができるんです。そういった意味でも、みこしに乗っている姿は憧れの存在なのかもしれませんね。僕たちも誇りを持って乗っています。

 

ーみなさん、さすが祭りに長く携わっている方々。とても興味深いお話が聞けました。最後に、今年の祭りに向けた意気込みがございましたら、お願いできますか?

うちの町は去年、みこしの組み合いでみこしがひっくりかえってしまったんですよ…怪我人が出なくて本当に良かったのですが、今年はそのリベンジですね!安全第一で、且つ気合を入れて去年の雪辱を晴らして盛り上がりたいと思っています!

自分の町の祭りのテーマが「粋(いき)」なんです。なので、暑さに負けず粋な祭りを魅せて、また来年も来たいなって思われるような祭りにしたいですね。

どの町も同じ想いを持っていると思いますが、怪我なく事故なく、担ぎ手も観客の皆さんも、みんなが楽しく笑顔で「最高の祭りだったね」と言って終えたいですね。

ー素敵なお気持ちを聞かせていただきありがとうございました!

 

男たちの怒号が飛び交う「ケンカみこし」。外からみていると、その迫力に圧倒されますが、その中の担ぎ手の皆さんには様々な思いがありました。
こだま夏まつりを愛する皆さんがこだわっている注目ポイントを知ってから、祭りを訪れると、また一味違った楽しみ方ができるかもしれませんね!

ぜひ、みなさんがおすすめしたポイントを、現地で体験してみてくださいね!

《注釈》
1、御仮屋:祭りの期間中、神様が宿ったおみこしが止まる場所
2、木遣り(きやり):労働歌の一つ。複数の人数で一つの作業を行うとき、力を一つにまとめる合図としてうたわれた唄と言われている

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