中山道で最も古い歴史を持つ山車祭りと引き継がれる祭りへの想い
本庄まつりインタビュー

中山道で最も古い歴史を持つ山車祭りと引き継がれる祭りへの想い

本街祭禮保存會 会長

猪野芳孝さん

毎年11月に行われる本庄まつり。この祭りで特に見どころなのが、古い歴史を持つ山車です。この本庄まつりの山車の歴史は古く、明治から受け継がれものが今でも曳かれています。今回は、本庄まつりの山車の歴史を詳しく知る、本街祭禮保存會 会長の猪野さんにお話を伺いました。

明治初期の江戸型山車が揃う本庄まつり

ー本日はよろしくお願いします。本庄まつりの山車は歴史深いと聞きました。どのくらい昔の山車なのでしょうか?

猪野さん 明治初期に作られた山車になります。本庄まつりでは10本の山車が曳かれるのですが、そのうちの8本が明治5年から大正13年に作られたものなんです。

 

ー明治初期に作られたものが、現役でも曳かれているんですね。そんな昔の山車が曳かれているなんて、驚きです。

猪野さん 幕末の文久2(1862)年に、街道で山車を曳く許可が出たことをきっかけに、中山道でも山車が曳けるようになりました。そこで中山道の宿場町の中で最も栄えていた本庄は、もともと本庄で開催していた金鑚(かなさな)神社の例大祭の本庄まつりをもっと盛り上げたい!という想いで、東京に山車を買い付けに行ったそうです。

 

ーわざわざ東京まで!?

猪野さん はい。それも購入したのが、江戸の天下祭りといわれる「神田祭」や「山王祭」で曳かれる江戸型山車でとっても貴重なものだったと聞いています。

ー江戸型山車…見た目や仕組みではどのような部分が特徴なのでしょうか?

猪野さん 少しマニアックな特徴なのですが、山車の高さに特徴があります。

ー高さ、ですか。

猪野さん 実は本庄の山車は、当時の江戸城の門をくぐれるちょうど良い高さになっているんです。

ーへえ!それはなかなかマニアックですね(笑)

猪野さん 神田祭や山王祭では将軍の上覧が江戸城で行われていたことから、江戸型山車はそのような高さに作られているようです。

 

ーなるほど。それを知っていると、山車の見え方も変わりそうです。

猪野さん あとは、豪華な装飾も注目ですね。本庄は中山道の中でも最も栄えていた宿場町だったので、非常に財力があったといわれています。そのため、幕や人形、彫刻などの装飾物を豪華にすることができたんですね。

ーその当時の経済の状況も山車に反映しているんですね。それは興味深い。

 

ー本庄まつりの山車は、最も古いものだと100年以上前のものになると思いますが、よく老朽化しないですね。

猪野さん 実は、平成に入って古い山車8本を大幅に修復したんです。本庄の歴史・文化をなんとか残そうと、市や市民で出資しあって、各町それぞれが2,000万円以上をかけて直したんですよ。だから今曳かれている山車は、当時の姿に限りなく近い状態なんです。

ーなるほど。なんだかロマンチックですね。

 

本庄まつりのお囃子は子どもが主役

ー本庄まつりでは、お囃子も叩かれていますが、何か特徴はありますか?

猪野さん それはお囃子の叩き手が子どもが中心、ということですね。本庄まつりでは子どもがお囃子の主役なんです。

 

ーそうなんですね!

猪野さん これは明治時代に山車を曳き始めた時から、「本庄のお囃子は子どもが叩く」ことが伝統になっているんです。しかも本庄は、叩き手を他の地域から派遣してもらうことなく、最初から地元の人たちで叩くようにしていました。これも本庄ならではです。ちなみに、お囃子は群馬に伝わる北関東でよく叩かれている世良田囃子(せらたばやし)がルーツだといわれています。

ー大人もお囃子を叩くというのはよくありますが、メインが子どもというのは珍しいですね。

猪野さん そうですね。私がこの祭りが大好きなのも、この子どもたちが主役で輝けるからというのがあります。大人が主役の祭りはたくさんありますが、子どもが人前に出てスターになれる祭りは珍しいんじゃないかなと思います。私も4歳の頃からお囃子を叩いて、もう50年以上のキャリアになりますが、子どもの頃に叩いていたあの感動を超えることはなかなかありません(笑)

ーそれだけ思い入れが強いんですね。

猪野さん はい。今となっては、頑張って練習した子が、祭り当日に山車に乗って立派にお囃子を叩く姿を見ると、本当に胸が熱くなります。

 

ーなるほど、ご自身が経験してきたことだからこそ、子どもたちを思う気持ちも強くなりますよね。参加したいという子どもたちも多いのではないでしょうか?

猪野さん そうですね、毎年やりたいと手を上げてくれる子どもは多いです。お囃子は20代から30代の若い子たちが教えていて、若い子たちで文化を引き継いでいく光景を見ると、とても嬉しくなりますね。

 

江戸型山車が勢ぞろいする本庄まつりの見どころは!?

ー本庄まつりの見どころを教えていただけますか?

猪野さん たくさんあるんですが(笑)。まずは2日目に行われる御神幸祭ですね。
歴史ある神事で、金鑚神社から宮神輿に続いて10本の山車が曳かれていく様子は圧巻です。

ーなるほど、歴史ある神事に歴史ある山車が巡行する…聞くだけで楽しみになってきますね。

猪野さん あとは、2日目の夜の山車勢ぞろいですね。日が落ち、提灯に明かりを灯した山車が駅前にずらっと並びます。北関東随一の山車が揃う、豪華で幻想的な様子を見ることができる素晴らしい時間ですよ。

 

ー今日のお話を伺っていると、本庄の歴史ある山車が集まった姿を見るだけで、胸が熱くなりそうです。最後に今年の意気込みを教えてください。

猪野さん 今年は、関係者全員の思い出にと、山車が勢揃いしている前でドローンを飛ばして集合写真を撮影する企画をしています。本庄まつりを後世にずっと残していきたいので…。

ーとっても素敵ですね。

 

明治初期の山車が今でも現役で曳かれる本庄まつり。
その山車には、受け継がれてきた歴史と想いがたくさん詰まっていました。明治の山車が令和の時代に曳かれる奇跡。他の祭りではなかなか体験できません。
ぜひ、現地で山車の姿をご覧になってみてください。

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