秩父夜祭レポート

街中から屋台囃子が鳴り響く真冬の2日間!ユネスコ無形文化遺産登録の歴史ある祭り「秩父夜祭」

飛騨高山祭、京都祇園祭と並び、日本三大曳山祭の一つにも数えられ、2016年には「秩父祭の屋台行事と神楽」としてユネスコ無形文化遺産に登録された「秩父夜祭」。豪華絢爛な笠鉾・屋台、そして鳴り響く秩父屋台囃子。30万人以上の人出となる秩父の一大イベントをレポートいたします!

12月2日は「宵宮」。豪華絢爛な屋台がじっくり楽しめる!

秩父夜祭は、毎年12月2日、3日の二日間で行われ、初日は宵宮(よいみや)と呼ばれています。宵宮は12月3日の本宮を盛り上げるための前夜祭のようなもの。とはいっても、豪華絢爛な屋台4基が秩父の街を曳き廻され、本宮(3日)に劣らない迫力の祭りを楽しむことができます。

 

2日の10時ころ、秩父の総鎮守である秩父神社でひっそりと秩父夜祭の神事が執り行われ始めます。

 

御神馬奉納の儀を執り行うため、宮司を始めとした祭り関係者が祭り会館に集まり、御本殿に向かいます。

 

同じ頃、秩父神社の境内の神楽殿にて、国指定重要無形民俗文化財に指定されている「秩父神社神楽」が奉奏されます。

この神楽は舞い方に能や歌舞伎の手法が取り入れられ、演劇的な表現が多いことが特徴で、関東一円で見られる江戸神楽とは、異なる構成。

 

11時を回ると、宮地・上町・中町・本町の屋台曳き回しが始まります。

遠くの方から「ホーリャイ!ホーリャイ!」という囃子手の掛け声が聞こえたと思えば、秩父神社のすぐそばには本町の屋台が曳行されていました。今から秩父神社に向かい、宮参りを行います。

 

屋台の前方には4名の囃子手と呼ばれる青年たちが乗っています。この囃子手は一生に一度しかなれないことから、大役に抜擢された青年たちは、気合を入れてこの日に臨んでいます。

 

秩父神社の神門の目の前に屋台をつけて、宮参りを行います。

 

宮参りの最後に、屋台の上で曳き踊りが披露されます。

 

踊りを披露している間、他の町の屋台も入ってきます。こうして、次々に各町が宮参りをしていきます。

秩父夜祭の屋台曳き回しの中でも特に迫力の瞬間が「ギリ回し」と呼ばれる、屋台の方向転換。数十人の大人が力一杯にギリ回しをする様子は迫力満点です。

 

屋台の中で演奏されている屋台囃子の大太鼓が止み、小太鼓だけの音になったと思えば、巨大な“てこ棒”を使って、屋台を傾けます。

 

“てこ棒”で屋台を傾けた様子がこちら。「ギシギシッ!」と、屋台が軋む音が響きます!この傾けた状態で、屋台の中心に回転台を差し込み、傾きを直したのちに、数十人で屋台を回転させます。

 

回転する際も、「ギシギシ!」と屋台が軋みます!無事回転が終わると、先ほどと同じように“てこ棒”を使って、屋台を傾け、回転台を取り外し、方向転換が終了します。

 

10トン以上ある屋台が「ギリ回し」した後の痕跡がこちら。コンクリートにもしっかりと跡が残っています。

 

昼の間、先ほどの「ギリ回し」による方向転換をしながら、4基の屋台は秩父の街中を曳き廻されます。

 

曳き回しの途中、屋台を止めて披露される「曳き踊り」も見どころの一つです。地元の子どもたちによる神楽が披露されます。

 

街の各所で屋台を止め、神楽を披露する「曳き踊り」。

 

16時を回り、あたりが少しずつ暗くなり始める頃、各町の屋台は会所前でぼんぼりや提灯をつけ始めます。

 

明かりを灯した屋台は昼の姿から一変、幻想的な姿を見せてくれます。

 

18時頃より屋台4基が改めて曳き廻され始めます。熱気がさらに増す夜の曳き回しがスタートです。

 

囃子手は扇子から提灯に持ち変え、祭りを盛り上げていきます。

 

見どころの一つ、屋台のすれ違い。巨大な屋台が、ギリギリの距離ですれ違う様子が見られます!この瞬間は囃子手達も一層熱気が高まるように見えますね。

 

夜も「ギリ回し」は行われます。

 

時刻は20時をまわり、この日の曳き回しは終了。各町の屋台は屋台蔵へ収納され、翌日の本宮を待ちます。

笠鉾・屋台、歌舞伎、花火…見どころが数え切れない12月3日の本宮

明ける12月3日は祭りの本番とも言える本宮。国指定重要有形民俗文化財「笠鉾・屋台」の曳き回しのほか、屋台歌舞伎、豪華スターマインの花火など、この日は一日中見どころがたっぷりです。

 

早朝、朝8時半頃には秩父神社内に屋台蔵をもつ本町の屋台が曳き回しに出発。寒空の下、屋台囃子が早朝から鳴り響き、本宮の始まりを告げるようです。

 

秩父神社には、この日行われる御神幸(ごしんこう)行列の先頭を進む御神馬(ごしんば)が奉納されています。

 

10時半からは、秩父神社本殿において、例祭が行われます。神様へ感謝の誠を捧げるために、大勢の参列者を迎えて厳粛に執り行われます。

 

秩父夜祭本宮の見どころの一つに、「屋台歌舞伎」があります。これは、その年の当番屋台町会が実施するもので、今年は本町が担当。屋台の両端に張り出し舞台を作り歌舞伎を演じます。

 

秩父神社の境内に屋台を止め、張り出し舞台の準備をおこないます。

 

徐々に仕上がっていく舞台。元々の屋台の姿がだんだん想像できなくなるほど、変形し始めていますね。

 

昼前には、舞台が完成!街中を曳き廻されていた屋台とは思えないほど、豪華な舞台が出来上がっていました。この舞台で、本町の屋台歌舞伎「白浪五人男」が披露されます。

 

13時を少し回った頃に演目がスタート。最初の挨拶には地元の小学生が登場。愛らしい挨拶で観客を沸かせます!

 

次いで「白浪五人男」の本編がスタート。本町のメンバーがそれぞれ、順番に見得を切っていく姿が見ものです。

 

一度演者が見得を切れば、観客席からは大量のおひねりが。

祭りはクライマックスへ。御神幸行列と共に笠鉾・屋台が急勾配の団子坂を上がる!

秩父夜祭はその名の通り、夜が本番の祭り。夜になり、より一層冷え込む秩父に、豪華な笠鉾・屋台が曳き廻され、屋台囃子が鳴り響き、秩父夜祭はいよいよクライマックスへ。
18時頃から、秩父神社を神輿1基、御神馬2頭をはじめとする、御神幸行列が御旅所に向けて出発します。
もともと、秩父夜祭は秩父神社に祀られる「妙見菩薩」と武甲山にいる「龍神」が年に一度、逢い引きをする祭りと言われ、その逢い引きの場所が「御旅所」となります。
その「御旅所」に向けて、秩父神社から神様を神輿に乗せて出発するわけですね。

 

秩父神社を出発した御神幸行列の中の神輿。秩父の街中を進み、御旅所へと向かいます。

 

19時頃になると、行列に続き中近・下郷の笠鉾2基、宮地・上町・中町・本町の4基の屋台が、それぞれ秩父神社から御旅所に向かい始めます。

より一層、気合の入った「ホーリャイ!ホーリャイ!」という掛け声が聞こえてきます!

 

最終目的地である御旅所を中心とした祭り広場は多くの人で賑わっています。

 

また、秩父屋台囃子なども披露され、御神幸行列の到着を待つ観客を沸かせます。

 

ついに御神幸行列が祭り広場に到着。急勾配の「団子坂」を次々と行列の人々が登ってきます。

 

御神馬は一気に坂を駆け上ります!

 

羊山からは花火の打ち上げもスタート。冬の澄んだ夜空に、華麗な花を咲かせながら、笠鉾・屋台の到着を今か今かと、待ちわびます。

 

20時頃から、各町の笠鉾・屋台が次々と団子坂を上がり、祭り広場に入ってきます。屋台がここまで傾くほど、急勾配の団子坂!笠鉾・屋台を引き上げるために、引き手の威勢のいい声が、祭り広場に響きます!

 

打ち上がる花火を背景に、笠鉾・屋台が祭り会場に入ってきます。

 

次々に集まる笠鉾・屋台と花火が華麗にコラボ。これぞ秩父夜祭!と言える、圧巻の光景を目の当たりにできます。

 

22時頃になると、ようやく全ての町の笠鉾・屋台が祭り広場に集合し、幻想的な光景が見られます。急勾配の団子坂を登り終えた引き手たちもホッと一息つきます。

この時間になると、一般客は立ち入り禁止だった祭り広場にも入れるようになり、勢揃いした笠鉾・屋台を目の前で見ることができます。

 

その頃、御旅所では厳かに斎場祭と呼ばれる神事が執り行われます。神前では代三宮神楽が奉納され、各屋台では稚児(ちご)による三番叟が演じられます。

 

24時近く。多くの観客が帰り、祭り広場の人がまばらになり始めたころ、秩父夜祭の隠れた見どころ、団子坂の笠鉾・屋台の引きおろしが始まります。これは、先ほど登ってきた急勾配の団子坂を逆に降りるもので、引き上げとはまた違った迫力のある場面です。

 

引き下ろしは、笠鉾・屋台にくくりつけた紐を、大人数でもち、体重をかけ、一気に降りないよう調整していきます。この時は、町によっては一般客も参加することができ、みんなで紐を持って体重をかけます。

 

「(降りるスピードが)速すぎ!速すぎ!」と怒号が飛ぶほど、引き手たちは必死に、笠鉾・屋台を支えます。ものすごい迫力を、目の前で見ることができるのは、まさに隠れた見どころですね!

 

団子坂を下りきった笠鉾・屋台は、各町の屋台蔵を目指して帰っていきます。

 

全ての笠鉾・屋台が団子坂を下りきった後、今度は御神幸行列が秩父神社に向かって帰っていきます。

 

秩父神社に御神幸行列が到着。神輿を本殿の前に安置した頃、時刻はすでに午前3時を回っていました。

 

静まり返った秩父神社で、厳かな空気の中、神の御霊を返す最後の神事を行い今年の秩父夜祭の幕が静かに下ろされました。

 

日本三大曳山祭にも数えられ、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「秩父夜祭」。冬の厳しい寒さをよそに、秩父の街が熱狂し熱く盛り上がる二日間でした。地響きのような屋台囃子が至る所から聞こえ、豪華絢爛な笠鉾・屋台を間近で見ることができる、とても迫力のある祭りでした!

 

取材日:2017年12月2日〜3日

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