こうのす花火大会花火職人取材

「こうのす花火大会」を支える職人の想い。夜空を彩る花火ができるまで

代表取締役 神田 隆広

本家 神田煙火工業有限会社さん

毎年、観る者を釘付けにする「こうのす花火大会」。この花火大会を長年に渡り支え続けているのは、実は東秩父村の小さな花火屋さん。

「本家 神田煙火工業」は、静かな山あいにあります。人々を魅了する花火をどのように作っているのか、どのような想いを持っているのか、実際に伺ってきました。

“モノづくり”に向き合う、花火の製造現場

こちらが「本家 神田煙火工業」の工場・作業場。花火大会で多くの人を魅了する花火が、こんな山奥で作られていると思うと、とても不思議な気持ちになりますね。

 

ご案内してくれたのは、「本家 神田煙火工業」の神田隆広社長。現在、神田社長を含む4名のメンバーで「本家 神田煙火工業」を営んでいます。埼玉県内の祭り・花火大会を中心に、花火の製造や現場での打ち上げを行なっています。

 

早速、花火作りの現場をご案内いただきました。花火の工場は、火薬を扱うという性質上、このような小さな小屋がいくつもあり、様々な行程をそれぞれの場所で進めています。「本家 神田煙火工業」には、このような小屋が7つ以上あるそう。

今回は、実際に尺玉(30センチほどのサイズ)に割薬・星と呼ばれる火薬を詰める工程を見せていただきました。

 

これが導線。打ち上げた花火が頂点で綺麗に花開くには、導線の長さが重要だそう。ただ、爆発のタイミングは導線の長さだけで決まるものではなく、この後の工程で貼る紙の張り具合によっても変わったりするので、今までのトライ&エラーで蓄積してきたデータが全てだと神田社長は言います。

 

玉の中に「星」と呼ばれる火薬を詰め込んでいきます。この「星」が、実際に打ち上がった時に色鮮やかに見える花火の部分になります。「星」を各色どのように配置をするか、花開いた時を想像しながら詰めていく作業になります。

ちなみに、この「星」の製造も「本家 神田煙火工業」で行っていますが、外での作業のため、あいにくの雨だった取材時には、その工程を拝見することができませんでした。打ち上げの当日だけでなく、製造の工程でも天気が重要になってくる仕事なんですね。

 

「花火を作る作業が、一番楽しいですね」と神田社長。打ち上がる花火を想像しながら、試行錯誤を繰り返す“モノづくり”が最高の喜びのようです。

 

一通り「星」が詰め終わったら、玉の中に薄い紙を敷き、次の作業に移ります。

 

この中に「割薬」と呼ばれる細かい火薬を詰めていきます。「割薬」は「星」を外に飛ばすための役割を果たします。発火性が強く、強い火薬

だそう。

 

「割薬」を詰め、半球の玉を合わせてテープで止めたら、この工程は完了。この玉にさらに紙を何重にも貼る「玉貼り」という作業に移ります。

 

このようにクラフト紙を強く引っ張りながら何重にも重ねて玉に貼っていきます。5枚くらいを重ねて貼ったら天日干し、という作業を玉の大きさや内容によって、貼る枚数を変えて作業を繰り返します。

この作業により、玉に圧力がかかり、爆発した時の勢いをコントロールすることができます。圧力が強ければ「星」は遠くに飛びますが、強すぎても弱すぎても形の良い花火にならず、非常にバランスが難しい作業になるそうです。

このような地道な行程を繰り返し、花火を作っていきます。ちなみに、花火を作るには火薬の仕込みから乾燥など全ての工程を終えるまでに約2ヶ月。一瞬だけ夜空を飾る花火も、それほどの時間をかけて作られていると思うと、もっとじっくり見たくなります。

 

結果にこだわる花火を作り続けていくということ

最後に、神田社長に「こうのす花火大会」についてお話を伺いました。

 

 「こうのす花火大会」にはいつから関わられているのですか?

第一回目からやらせてもらっています。とにかく「来年もまた来たい」と思ってもらえるよう、結果にこだわる花火を心がけています。最初は、この花火大会を続けていけるかどうかわからないところから始まりましたが、今では、うちの火薬量の半分以上を占める大きなイベントになりました。実行委員の人たちは若く、「こうしたい!」という強い意志を持っているので、チャレンジし続けられる現場として、とてもやりがいがありますね。

 花火大会を毎回続けていく上で大変なことはありますか?

やはり、あれだけの規模の花火大会になると危険が伴うので、現場の運用がとても大変です。しかも、「こうのす花火大会」は四尺玉のギネス登録など、新しいことにチャレンジし続けているので、リスクもあります。それでも、毎年多くの方が訪れ、自分たちが作った花火で笑顔になってくれるのがうれしいんですよね。そのために続けているというのもあります。

 最後に「こうのす花火大会」への想いを聞かせていただけますか?

花火大会は、我々花火屋だけでなく、多くの人々が関わっています。みんなで作っている花火大会なので、みんなで「良かった!」と思いたいですね。そしてそれが地域の活性化につながれば、こんなに嬉しいことはありません。

鴻巣から30km以上離れた東秩父の地で花火大会を支えてきた「本家 神田煙火工業」。モノづくりへのストイックさと、人々を笑顔にしたいという温かい心が、観る者を釘付けにする、美しい花火を作るのだと思いました。

ぜひ、「こうのす花火大会」でこの花火の美しさを実感してみてください!